ケトン体5.jpgブドウ糖が不足すると脂肪酸からアセチルCoAが作られ、ケトン体にになり他の臓器へデリバリーされることを前回お話ししました。

糖質制限を加えると、肝臓で脂肪酸からケトン体を生み出し、他の臓器の細胞ではケトン体を利用することが順調に行えるようになります。ケトン体からATPを作れるようになります。

糖質摂取ををゼロにすると、どんどん体脂肪が消費されて万々歳のような気がします。

ところが、それほど単純ではありません。

どんなに糖質制限を厳しくしても、飢餓状態でも血糖値はゼロになりません。なぜなのでしょう?

ミトコンドリアでケトン体から潤沢にATPを作るためには、TCA回路が回っている必要があります。そのためには、回路の材料を調達するために少量でもブドウ糖が必要です。また、細胞の方も全くブドウ糖がゼロでは暮らして行けません。

足りない糖分は、アミノ酸などから糖を作り出す糖新生というメカニズムでなんとか最低限は確保しようとします。脂質が足りなかったり、エネルギー摂取不足や、運動過多だったりすると低血糖になってしまいます。

糖新生の最大の弱点は、アミノ酸を利用するため筋肉が痩せてしまうことです。

筋肉→<分解>→タンパク質→アミノ酸→<糖新生>→ブドウ糖

エネルギー不足になると、筋肉を壊してブドウ糖を作るというメカニズムが強力に働いていきます。栄養管理しないで、運動ばかりするとかえって筋肉が弱る事になります。

これ点は、リハビリを始めて活動量が上がった際にも重要な問題点になります。管理栄養士さんと相談しながら栄養補給をやっていかないと、患者さんがせっかくトレーニングしても筋肉を痩せさせるだけになってしまいます。

筋肉を落とすことは、痩せるよりも『やつれる』ことになります。
私たちは、大切な筋肉を守りながら余分な体脂肪を徐々に落とすことを目標に設定すべきです。

食欲は、体重増加になるように絶妙に調整されているのが幸いなところです。

しろくま

  さん

栄養と筋肉と運動・・・、この3つが絶妙なバランスを保っているわけですね。
体に優しく、適切に脂肪は落としていきたいところですね。

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Shozzy

  さん

ただ絶食しても体が弱っていくだけなんですね。
考えてみればそりゃそうだろうという感じはしますが、痩せたい方だけに目が行くととりあえず食べない!という方向に進んでしまうのでしょうね。

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ゆきだま

  さん

栄養管理をきちんとしていないと、運動をして却って筋肉を弱らせる結果になってしまうのですね。
「痩せるよりも『やつれる』」という言葉がとても印象に残りました。

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やまだ

  さん

最近糖質制限が流行していますが、やはり健康に痩せるためには単にカロリーを減らすのではなく、適切に栄養バランスを考えて行わなければならないんですね。
流行りに惑わされず、しっかりと管理していきたいものです

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お雑煮

  さん

「エネルギー不足になると、筋肉を壊してブドウ糖を作るというメカニズムが強力に働いていきます。栄養管理しないで、運動ばかりするとかえって筋肉が弱る事になります」このことは、このことは日ごろの食生活では、大変重要ですね。

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FK8

  さん

単に食べないで運動するだけでは、筋肉をやせさせるだけで体にとって良くないということが理解できました。
ダイエットもなかなか難しいですね(笑)

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BB

  さん

糖質制限のことを調べても、よくわからない点がありますので質問させてください。
糖質が不足すると糖新生によって筋肉を糖質に変換します。
さらに糖質が不足するとケトン体回路に切り替わりますが、糖新生させずにケトン体回路に切り替える方法はあるのでしょうか?
多くの糖質制限推奨者は、ケトン体回路に切り替えればと謡うのですが、体の仕組みの機序からすると、一度糖新生が進んで筋肉を分解し尽くした後でないとケトン体回路に切り替わらないと思うのですが、この記事で先生のおっしゃるとおり、筋肉を分解して「やつれて」しまっては元も子もありません。
筋肉を維持したまま、ケトン体回路に切り替える方法はありますか?

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