元正天皇の左大臣、長屋王の邸宅跡から多数の木簡が出土した。その中に大貴族、長屋王家で消費した食材を記した木簡があったので、それを参考にして古代食研究家の広田卓氏が長屋王の食膳を復元してみた。

 それは海鮮物を中心にした30皿ものグルメ色である。

 飯       椀に高盛にした白飯

 汁もの    ハマグリの熱汁、鶏肉のささみと蕪の熱汁

 鱠と鮓    鮎鮓、クラゲの鱠、鯉鱠、ホヤ鱠、蟹、ニナ貝、氷魚

 煮物     煮塩鮎、里芋の煮つけ、

 焼き物    焼タコ、焼サザエ、焼ハマグリ、焼雉肉

 蒸し物    蒸し鮑、蒸しエビ、蕪の蒸しもの

 乾しもの   鯛塩干し、鱒塩干し、鱸塩干し、鮭塩干し、鹿干し肉、猪干し肉

 醤漬け    醤漬け鰹、醤漬け鮎、醤漬け瓜、醤酢鯛

 粕漬け    粕漬け瓜、粕漬け蕪

 酢の物    モズク、ところてん、蕪酢漬け

 菓子類    串柿、栗、橘、柑子、山桃、枇杷、桃。餅

 酒類     清酒

 調味料    塩、酢、酒、醤、鰹の煮汁

 贅沢な食材が並んでいるが、どの料理も現在のように調味料を使って味付けがしてないので、小皿に入れた塩、酢、醤などを各自で好きなようにつけて食べるのである。味をつけて調理するようになるのは室町時代からである。

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