どの料理を和食とするかは人によって少し違う。懐石料理、精進料理、寿司、味噌汁、刺身、天ぷら、和え物、お浸し、おせち、アジの干物、きんぴらごぼう、おでん、うどん、そばなどは誰がみても和食であろう。 カレーライス、コロッケ、とんかつ、ナポリタン、ラーメンなどは和食ではないが日本食であろう、すき焼き、肉じゃが、ポテトサラダなどは和食か日本食かどちらにするか迷う。 筆者は幕末から明治のころまで食べていた料理が伝統的な和食、それが明治以降に近代化されたものが日本食と解釈することにしている。

 日本観光に来た外人が食べたがる日本食のベスト3は寿司、てんぷら、ラーメンだそうである。日本食レストランは世界中に3万店あるというが、その大部分は経営者も板前も外人であり、日本人から見ると「おかしな日本食」が人気を集めている。最も人気のあるのが鮨であるが、すし種はサーモン、卵焼きが多く、ピーマン、マンゴーなどを載せたものもあるという。酢飯の代わりにチャーハンを使った海苔巻、アボカドやツナを巻いたものもある。焼き餃子やラーメンもメニュウに加えられている。

 日本の家庭の日常食を調べてみると、和食メニュウーが少なくなり、ハンバーグ、シチュー、グラタン、スパゲティ、餃子、マーボ豆腐、八宝菜などが多くなっている。世界のどの国でも、家庭ではその国伝統の料理を食べているのであり、日本のように伝統の和食を押しのけて、洋風料理、中華風料理が家庭食にまで入り込んでいるところは珍しい。このように和、洋、中華風料理が入り混じった家庭食を広く「日本食」と呼ぶこともある。

 このままでは伝統的な和食文化が失われてしまうと危惧して、政府は和食を世界無形文化遺産に登録申請をした。すでに、フランス料理、トルコ料理、地中海料理が世界遺産に登録されている。申請に際しては、和食とはどのようなものであるかが論議の対象になった。結局、4話で紹介したようにご飯と魚介類、野菜、海藻を主にする、味噌、醤油、鰹節、昆布などを使う、旬の食材を大切にする、行事食、郷土食が多いなどを特徴とする食事と考えることになったそうである。

 しかし、料理も食生活も時代によって変化する。和食を世界遺産に登録してもそれを化石状態で後世に残しても大きな意味はない。確かに伝統というものは大切にしなければならない。伝統は過去のj事象の積み重ねではあるが、時代と共に少しずつ更新されて行くものであり、未来へのガイドラインになるものである。和食の伝統とは何かを知り、その良いところを現在と未来の食事に生かすことこそ大切であり、そのためにこのブログを書き続けていきたい。

 

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