江戸」時代に一旦、完成したかにみえた和食ではあるが、どうかすると動物性食材が不足して、米食に偏りやすく栄養バランスが悪くなるので、国民の体位向上、健康増進を目指す近代国家、日本にはふさわしいものではなかった。日本人の体格は江戸時代にもっとも貧弱になっていたのである。

 そこで、明治政府は、仏教の殺生戒律を守るために奈良時代以来続けkてきた肉食禁止を解禁して、西洋料理を奨励することになった。その結果、登場したのが牛鍋(後のすき焼き)、カレーライス、コロッケ、トンカツなどご飯に合うようにアレンジした洋食である。  さらに、第二次大戦後には肉料理、油料理、乳製品を多く摂る欧米風の食事を奨励する栄養指導を行ったので、日常の食事が急速に洋風化されて国民の栄養状態が改善されたので、体位は向上し平均寿命が延びて世界一の長寿国になったのである。

 しかし、家庭の食事の洋風化、中華風化は過度に進みすぎて、それまでの伝統的な食文化を根底から揺るがし、和食は人気がなくなってしまった。ことに、最近の30年には脂肪の摂取過多、カロリーの摂りすぎが目立つようになり、中高年には肥満が増えて生活習慣病が蔓延している。     国民の栄養管理のためにも、脂肪の多い欧米風料理をセーブして、ご飯、魚、野菜中心のヘルシーな和食を復活させることが望まtれるのである。

 肉料理、油料理が増え、ご飯を食べることが少なくなり、三度に一度はパン食に代わったから、製パン用の小麦、畜産飼料用のトウモロコシ、食用油を絞る大豆などを大量に輸入しなくてはならなくなり、食料の半分以上を輸入農産物、畜産物に依存しなくてはならくなった。  足りない食料は苦労して国内で増産するよりは安い海外農産物を買えばよいとノーテンキに考えるようになったから、国内の農家は安い輸入農産物に押されて生産意欲を失い、その存続が危ぶまれている。

 今世紀中途には後進国の食料需要が爆発的に増えて、世界的な食糧危機が訪れることは必至である。これまでのように欲しいだけの食料を海外から買い集めて飽食できた時代は終わろうとしている。  明日の日本の食料を確保するためにも、国内で生産できる米、魚介類、野菜などを大切にしてきた和食の知恵に学ぶところが多いのである 

 

 

 

 

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