後進国の人口増加は止まるところがなく、2050年には地球人口は95億人に達すると予想されている。現在、地球上で生産できる穀物などで養える人口は80億人が限界と考えられていて、さらに増産できる余地は少ないから、21世紀半ばには世界的な食料危機が訪れることは必至である。最近の20年を顧みても、アフリカ諸国などでは9億人が飢えていて、餓死する子供が毎年、500万人もいるのである。

  それなのに日本は世界市場の食料の10%にもなる6000万トン近い食料を平気な顔をして輸入している。日本の食料輸入総額は約450億ドルであるから、1ドルを80円で換算すると3.6兆円、国民一人当たりにして年間わずかに2.8万円で済む。日本は経済大国であるから、必要な食料は国内で無理をして増産するよりは安い海外農産部を買えばよいと戦後の60年を無為に過ごしてきたから、将来の食糧危機に備える準備が何もできていない。

 現実に直近の数年で輸入穀物の価格が暴騰し、FAOの食料品価格指数は10年前に比べて2倍になっている。高値を出しても買えるえる間はまだよいが、そのうちにお金を出しても食料が買えない時代が必ず来る。これまでのように欲しいだけの食料を世界中から買い集めて、飽食できていた時代はすでに終りかけている。

 今後も国民の食料の6割もを海外からの輸入に頼り続けてることはできそうもない。そこで頼りにしなければならないのは国内農業であるが、これがまた憂慮すべき状態にあることはすでに解説した。国内農家は安い海外農産物に押されて生産意欲を失い、その存続が危ぶまれている。農林水産省は2015年までに食料自給率を40%から45%に戻すことを目標に、小麦、大豆、飼料作物の増産を奨励することをすでに12年も継続してきたが、増産はできるが内外価格差は解消できないから、計画通りの増産はできず、自給率はずっと40%のままで回復しない。それどころか、今問題になっているTPP参加が実現して海外農産物が保護関税なしで自由に流入してくれば、日本の農産物生産額は半減し、自給率は27%になるかもしれないのである。

 実現もしない自給率の回復を頼りにしているようでは将来の食糧危機に備えることはとてもできない。ではどうすればよいのか。読者ならどうされますか、考えれみてほしい。続きは次話でお話しする。 

 

 

 

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