かつて「ココアは体によい」とテレビ番組で報道されると、店頭のココアが売り切れたことがあった。最近では、バナナでダイエットできる、納豆でダイエットできる、トマトで痩せられるなどが話題になった。。これらの報道は全く根拠がないわけではないが、マウスを使った動物実験での話であったり、極端に多量に摂取すればという話であったり、とかく誇張されたものが多い。テレビ報道や新聞記事ならばすべて正しいと思い込んではならない。データの良いとこどり、番組担当者の早合点、ためにする誇張、極端な場合には捏造などが混じっている。

 食べ物が健康や病気に与える影響を誇大に信奉することを「フードファディズム(ファドとは一時的な熱狂という意味)」という。食べ物を単純に「良い」、「悪い」と分けたがる人がいるが、止めてほしい。ほとんどに食品は食べ方によって、良いところもあれば、悪いところもあるものなのである。それなのに、良いところだけを誇張して取り上げる報道が多く、またそれを鵜呑みにする人が多いのは嘆かわしい。体に良い食生活はあるけれど、これさえ食べえいれば大丈夫という食品はないと考えてほしい。

 市場にはあらゆる食品があふれている時代である。誰でも、少し気を付ければ主食、主菜、副菜を組み合わせてバランスよく食べることはできるのである。しかし、忙しいからと言って、不規則な食事をしたり、好き嫌いをしたりしているから、今は良いとしても将来の健康に不安を感じるのである。このように健康にそこそこ関心がある人がフードファディズムに陥りやすいのである。自分の健康管理の責任を特定の食品に押し付けてはいませんか。健康に良い食品、または健康食品さえ摂ってさえいれば健康に過ごせるという自己欺瞞に陥ってはならない。

 食生活の基本は穀物を主食にして、副食に植物性食品と動物性食品をできるだけ多種類、まんべんなく食べることに尽きる。毎食、きっちり気配りしなくても、昨日は食べすぎたから、今日は控えておこうと気楽に実施してほしい。ごく当たり前のことなのであるが、これを続けることが意外に難しい。体にいい食品や健康食品、サプリに手を出すほうが気楽なのである。

 

 

 

 

 

 

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