健康食品に興味を持っておられる読者が多いので驚いている。寄せられたご質問に答えるために、健康食品は効くのか、聞かないのか、判断するポイントを説明してみる。

1)健康食品の効果は体のリズムを整え、健康状態を良くして病気を予防する保健効果であり、医薬のように病気の症状を治療できるものではない。したがって、臨床試験で効果があると証明された特定保健用食品であっても、「血圧を下げる」など医薬と紛らわしい表示や宣伝をすることは禁じられている。「血圧が気になる人に勧める」などと穏やかに表示しなければならない。

2)だから、特定保健用食品は医薬と混同しないように錠剤やカプセルにしないで、原則として飲料、ビスケットなど食品の形態で販売しなければならない。

3}特定保健用食品であっても、その効果は医薬のように劇的には現れず、徐々に現れてはっきりしない。効果が表れるまでには少なくても1か月ぐらいは続けて摂取する必要があり、摂取をやめれば元に戻る。

4)特定保健用食品が臨床試験で効果があったとしても、被験者のすべてに同じように効果が現れたわけではない。体質や体調には個人差があるから、20人が摂取すれば一人や二人には効果がないのが普通である。数か月摂取してみて効果を自覚できなければ、その人には合わないのだから、止めるのがよい。

5)健康食品に配合される有効成分の多くはは日常に食べている食品に含まれているから、普通の食事をしていればわざわざ健康食品で補給するまでもない。また、補給しても、三度の食事をきちんととっていなければ効果は期待できない。だから、特定保健用食品には「食生活は主食、主菜、副菜を基本に、バランスよく」と注意書きしてある。

6)「誰でも激ヤセする」、「がんが治った」など誇大広告している健康食品もあるから注意しよう。これらは個人の体験談であると断って宣伝しているから、広告を止めさせることができない。健康食品を巡る苦情は年間15、000件もあり、医薬成分が含まれていて健康被害が出たケースもある。

7}もちろん、特定保健用食品の以外の健康食品の中には「臨床試験で効果があると証明されていない」という理由で効果がないと言えないものがある。免疫増強、老化遅延、発がん予防などの効果は数か月の臨床試験で証明できるものではない。また、痛みの緩和や疲労回復は血圧や血糖値を測定するように検査値で効果を比較できないからである。

 

1