魚油、特に青身魚の油に多く含まれているEPAとDHAは体内では合成できない必須不飽和脂肪酸であり、血清コレステロールや中性脂肪の低下、血管、血液の性状改善、血栓予防、脳神経機能の維持などの生理効果がある。EPAとDHAは1日に1グラム以上摂取するのがよいが、最近では魚を食べることが減っているので、平均すると700ミリグラムぐらいしか摂取できていない。EPAとDHAを配合した特定保健用食品で中性脂肪を低下させる効果のあると証明されたものが承認されたものがある。その他の効果があると証明したトクホ商品はまだ販売されていない。

 食用油の化学成分はトリアシルグリセロール(中性脂肪)であり、腸内で脂肪酸と2-モノアシルグリセロールに分解されて吸収され、体内でふたたびトリアシルグリセロールに戻って脂肪として蓄積される。ところが、トリアシルグリセロールと化学構造が似ているジアシルグリセロールは体内で中性脂肪に戻りにくい。そこで、ジアシルグリセロールを食用油に使えば、油としての性質はほとんど変わらないが、食後に脂肪に戻りにくく体脂肪として蓄積されにくい。ジアシルグリセロールを使った食用油が特定保健用食品に認定され、ヒット商品になったことがある。しかし、混入していた副産物に発がん性が疑われたので販売は中止された。

 茶葉のカテキンは食事で摂った脂肪が体内で分解するのを促進して体脂肪として蓄積するのを抑制する効果があるので、茶葉カテキンを通常のお茶に比べて2倍くらいに濃く配合した緑茶飲料が特定保健用食品として販売されている。

 大豆イソフラボンを加えた味噌や飲料が骨量を増やして骨粗鬆症を予防する特定保健用食品に承認されている。大豆イソフラボンは大豆の胚芽に多いフラボノイド化合物であるが、化学構造が女性ホルモン、エストロゲンに似ているので穏やかなホルモン作用がある。女性は閉経後、女性ホルモンの分泌が低下して骨の溶出が多くなり、骨量が減少しやすいが、大豆イソフラボンはそれを防ぐと証明されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

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