現人類が登場して4万年、食べ物は常に不足していたから、私たちの体は食事のカロリーが余れば脂肪に換えて蓄えておいて飢餓に備えることができる。しかし、食べ物に不自由しなくなったのはごく最近のことであるので、食べすぎたカロリーを貯蔵することなく、そのまま消費するには、運動をする以外によい方法が備わっていない。

 日常生活に必要な食事のカロリーは生活活動の強弱によって決まる。1日の大部分を座ってテレビを見ながら過ごす生活であれば基礎代謝量(横臥して安静にしている状態で必要なカロリー)の1.5倍、通勤、買い物、軽いスポーツをしていれば1.75倍が必要である。ところが最近の中高年者は平均して必要カロリーの10%ぐらいは多く食べすぎていて、そのために3人に1人が肥満になっている。10%の食べすぎといえば約250キロカロリー、ご飯なら茶碗に1杯、ショートケーキなら1個程度に相当する。毎日、これだけ食べすぎていれば、1に日に23グラム、3か月で2.5キログラム体重が増える計算になる。

 食べすぎた250キロカロリーを消費するには、どのくらい運動をする必要があるのか。体重60キログラムの男性であれば、普通の歩行なら2時間、ジョギングなら40分、平泳ぎなら25分が必要である。食べすぎは一瞬で終わるが、それを解消する運動は長時間必要である。

 この程度の運動を毎日継続すれば、体重の増加を防ぐダイエット効果があるだけでなく、足腰の筋肉や心臓を鍛え、身体の生命活動を活発にして体力、持久力をつけることができる。カロリーを気にして食べたいものも食べずに過ごすよりは、普通通りに食べて積極的に運動することをお勧めする。

 

 

 

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