食事で摂取したエネルギー(カロリー)が、身体活動で消費するエネルギーを上回る状態が続くと、過剰になったエネルギーが脂肪に変わり、皮下組織や内臓周辺に蓄積されて体重が増えて肥満になる。体脂肪率が成人男子なら体重の25%以上、女子なら30%以上になると肥満とt判定する。

 しかし、通常は体脂肪率を測定する代わりに、体重と身長から次式によりBMI(肥満度)を計算して肥満の度合いを判定している。                                             BMI(肥満度)=体重(kg) ÷ 身長(m) ÷ 身長(m)

 男女ともにBMIが22であるときに生活習慣病にもっとも罹りにくいというデータがあるので、身長{m}の2乗に22を乗じた値を標準体重(kg)と定め、体重が標準体重を20%オーバーしてBMIが25以上になれば肥満と判定することにしている。身長が165センチメートルなら標準体重は59.9キログラムだから、体重が68.1キログラムになれば肥満である。

 ことに内臓に脂肪が蓄積する内臓肥満になると、肥大した脂肪細胞よりアディポサイトカインが異常に分泌される。そのため、末梢組織でグルコースの取り込みが阻害されて血糖値が高くなり、糖尿病が誘発される。さらに、血液中の中性脂肪、コレステロールが多くなり高脂血症にもなる。これらの症状がさらに進行すると動脈硬化が起こり、高血圧、虚血性心疾患、脳梗塞などを発症するリスクが20倍にもなる。また脂肪過剰による大腸がん、子宮がん、乳がんの発症も多くなる。肥満でありながらこれら内臓脂肪症の症状が認められない人もいるが、そのような人は20%ほどに過ぎない。

 内臓脂肪面積が100平方センチメートルを超えて (便宜的には腹回りが男性なら85センチメートル、女性なら90センチメートル以上になり)、さらに高血圧、高血糖、高血清脂質の初期症状が2症状以上現れているならば、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)と診断される。該当する人は40歳以上で2200万人、疑わしい人を含めると40歳以上の男性の52%、女性の20%になる。メタボ肥満はすでに生活習慣病なのであるから、食事改善と運動により早期に解消しなければ大事になる。

 

1