近年になって、中高年者の肥満が目立つようになった。肥満者の割合は30年前に比べると、男性では50歳代で50%、60歳以上で倍近く増えていて、30-69歳の男性は3人に1人が肥満である。女性でも50歳以上になれば同じように肥満者が多い。

 中高年になると生きていくのに最低限必要な基礎代謝量が若いころに比べて200キロカロリー以上少なくなっているにもかかわらず、それに合わせて食事の量を減らしていないから過食になりやすい。そこへ運動不足が重なって肥満が急速に増えたのである。座位の生活が多い50-69歳の男性ならば1日に必要なエネルギーは2050キロカロリーであるのに、平均して2182キロカロリーも食べているから11%の過剰摂取になっている。女性も50歳以上になると同程度の過剰摂取である。

 食べ物に不自由しなくなったのでつい食べ過ぎるから肥満が増え、肥満があらゆる生活習慣病を誘発する。2002年の国民健康栄養調査によれば、50-69歳の人は30-55%が境界型を含めた高血圧症、30-45%が高脂血症、20-30%が高血糖症である。高血圧症患者は境界型を含めて3500万人、高脂血症患者は3200万人、糖尿病患者は予備軍を含めて2200万人、骨粗鬆症患者は1000万人である。これらの疾患に重複して罹っている人も多く、生活習慣病患者は人口の3分の1、約4000万人に達している。

 腹8分目に食べて健康に過ごすことを忘れ、食べ物が有り余るほどあるのを良いことにして欲しいままに食べることから生活習慣病の蔓延が始まった。

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